1)きっかけと最新の状況
オハニ36が当時運用中としての存在を知ったのは、鉄道ジャーナル社が1986(昭和61)年発行の「鉄道ジャーナル別冊No.16 人気列車全国大追跡 統一国鉄最後のダイヤを現地ルポでたどる」(絶版)の記事として、524レ乗車記にこの車両が紹介されていたことでした。この列車は行商列車として浜坂→福知山で運行されていて、その列車の限定運用として本車両が連結されてました。車両はオハニ36 7と11の2両が福知山客貨車区に在籍し、国鉄最後のダイヤ改正となった昭和61(1986)年11月1日の前日である10月30日まで運用されました。
その後、オハニ36 7は公益財団法人日本ナショナルトラストへ、オハニ36 11はJR東日本へ譲渡されました。オハニ36 7は大井川鐡道へ運行、整備委託し、年に数回の同財団主催のトラストトレインやイベント列車で運用されておりました。
ところが、ここ数年は休車扱いとなって運用されていないことをSNS等で知りましたが、最新の状況の情報がなく財団HPにも触れられていないことから、ビール列車乗車の機会にこの目で確かめることにしました。
8月3日当日。新金谷駅に到着し、構内を見るとオハニ36を確認。遠くから見ても状態が芳しくないのがわかります。
「SLやまぐち号」で使用されていた12系とともに
OM SYSTEM OM-1 M.Zuiko Digital 12-100mm/f4 大井川鐡道 新金谷駅 2024.8.3
近くで確認したく駅の裏側へ向かうと、幸い近くまで寄ることができたので、細部を確認してみます。
サイドから撮影
OM SYSTEM OM-1 M.Zuiko Digital 12-100mm/f4 大井川鐡道 新金谷駅 2024.8.3
構内の外側から撮影。車体外板の補修作業がそのままとなっている。
OM SYSTEM OM-1 M.Zuiko Digital 12-100mm/f4 大井川鐡道 新金谷駅 2024.8.3
2020年の訪問されていた方のブログがあり、比較すると当時から全く作業が進んでいないようです。もともとトラスト財団所有で車両の補修や整備も一部彼らが実施していたところ、新型コロナ感染により、そうした作業もできなくなったことも影響しているようです。
車輛を眺めながら、運行されていた時期に1回でも乗車すればよかったと今更ながら後悔しております。
今後、この車両が補修されて本線復帰できるか、引き続き追いかけてみます。
2)524レ乗車記
1986(昭和61)年8月某日。私は、524レに乗車すべく福知山から「急行だいせん5号」で浜坂まで移動しました。初めて購入した一眼レフカメラ片手に旧型客車の乗り鉄と撮り鉄のために、青春18きっぷを利用して生まれて初めての一人での泊り旅行を実行した。この日の行程は524レからスタートして、1泊2日をかけて浜坂→(DD51+旧客)→福知山→(DD51+50系)→京都→柘植→亀山→(DD51+50系)→新宮→(EF60+12系)(紀勢夜行)→天王寺→大阪→(DD51+12系)(721レ、当時の最長普通列車)→出雲市で旅を締める行程でした。
出発前の524レ
オリンパスOM-2 Zuiko 50mm/f1.4 山陰本線浜坂駅 524レ 1986.8.某日
出発前のオハニ36車内。
オリンパスOM-2 Zuiko 50mm/f1.4 山陰本線浜坂駅 524レ 1986.8.某日
当日の524レは、夏休みにしては乗り鉄が以外と少なく、多分始発時点でこの車両には私含め4人?ぐらいでした。そしてこの日乗車した車両が大井川鐡道で休車扱いとなっているオハニ36 7でした。ちなみに高崎に在籍しているオハニ36 11は別の日に撮影だけしてましたが、乗車する機会はありませんでした。
浜坂を定刻4時41分を出発。餘部鉄橋を渡り鎧駅から各駅毎に商品を背負った行商の方々が次々と乗り込んできました。行商人はシートに商品を並べるためにシートをひっくり返してそこへ商品をおき、車内で取引を進めます。
オハニ36の荷物室にも商品が積み込まれていた。
オリンパスOM-2 Zuiko 50mm/f1.4 山陰本線浜坂駅 524レ 1986.8.某日
各BOXシート毎にこうして商品が積まれる。
オリンパスOM-2 Zuiko 50mm/f1.4 山陰本線浜坂駅 524レ 1986.8.某日
取引した商品を販売するためにパック詰めしていく(許可を得て撮影)
オリンパスOM-2 Zuiko 50mm/f1.4 山陰本線 524レ 1986.8.某日
取引が一段落した行商人の様子
オリンパスOM-2 Zuiko 50mm/f1.4 山陰本線 524レ 1986.8.某日
豊岡駅にて。ここでほとんどの行商人が降車
オリンパスOM-2 Zuiko 50mm/f1.4 山陰本線 豊岡駅 524レ 1986.8.某日
余所者である私が中学生だったこともあったか、乗車した席で席替えを言われた記憶がないのですが、多分豊岡駅までは他車両へ移って、豊岡駅から再度オハニ36で福知山まで乗車したと思います。
豊岡駅に到着。行商人はほとんどが当日販売する海産物を背負って、降車していきました。この後は、本来通学客が中心となって福知山へ向かう時間帯ですが、夏休みだったこともあり、空いたまま終点福知山まで向かいました。
終点の福知山駅にて。
オリンパスOM-2 Zuiko 50mm/f1.4 山陰本線 福知山駅 524レ 1986.8.某日
こうして、定期運用としての最初で最後のオハニ36乗車は終わりました。
今、この記事を進めているところで、運用終了直前の貴重な動画がありましたので、リンクとして紹介します。
確か、ダイヤ改正後は50系か12系に置き換えられてスジは残っていたはずですが、ざっと検索しても、それらを撮影したページがヒットしませんでした。また、現在のダイヤを見ると浜坂駅始発が6時12分なので、どこかのタイミング行商人輸送の需要がなくなり、このスジもなくなったのでは?と推測しております。もう少し調査してみようかと思います。
3)終わりに
大井川鐡道への現車確認を実施しましたが、私がこれほど大井川鐡道にいるオハニ36に想い入れが湧き出した理由は、当時乗車した車両がオハニ36 7だったことです。今後、日本ナショナルトラストが補修の再開と大井川鐡道での整備が進められるか不明ですが、1986年に乗車したオハニ36 7が再び本線復帰が決まれば再度乗車と撮影をしたいと思います。
終わり