本見学会の前半の見どころである、上部軌道の高熱隧道を抜ける。
出発前のトロッコ列車。最後部には機材?部材?を積んだ貨車も。ちなみにこの貨車、上部軌道直通用で耐熱構造仕様。
こちらも上部軌道専用の機関車。動力は充電式バッテリー。
これには明確な理由がある。ディーゼル機関車であると燃料である軽油が高熱の隧道内で引火する恐れがあることと、排気ガスの換気ができないためである。また、電気機関車であると、集電の架線が隧道内の酸化成分で腐食の進行が激しく、設備維持が容易でないためである。現に、敷設されているレールも3年程度で全線交換しているという。
各車両ごとに6~7名程度で分乗し、それぞれに添乗員が乗車。出発後車内に掲示されているパネルや持参した資料でもって、上部軌道の歴史と高熱隧道について説明がなされた。
ちなみにこの車両も耐熱構造で、曇対策に手動のワイパーを装備。手動にしているのは、前述の電気機関車同様に、配線類の腐食による故障を避けるためとのこと。
車内の狭さはこんな感じ。関西電力社員さんや協力会社さんもこの車両で移動される。
説明用に赤目の色で照らされているが、素掘りの坑道の壁面は湯の花が付着しており、硫黄分の多さがよく分かる。雨降りの場合は隧道内に硫黄の匂いがキツくなり、晴天の日は仙人谷一体がキツくなるという。実際この日は、隧道内の方が硫黄の匂いがきつかった。
程なくして、高熱隧道部へ。ここで説明のために列車は低速し、扉を開けての説明。
この隧道に沿って発電用の送水管を通しているおかげで隧道内の温度が下がっているものの、それでも40度前後だという。年数回の送水管点検で送水を停止すると、たちまち100度超えるとか。
程なくして高熱隧道を抜けて、仙人谷駅に到着。
駅名標と時刻表。橋上の駅。
黒四方を望む。わかりにくが、先の光が差し込んでいる所は、仙人谷ダムへ向かう分岐がある。
仙人谷ダム。このダムの建設のために、この軌道を建設した。戦後は黒四ダムまで延伸し、そちらの建設資材の輸送にも使われた。
ここまでのルートは以下の通り。
次回:黒部ルート見学会(2017年欅平出発コース)本編4(仙人谷~黒部第四発電所)